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山沢 滋: 2011年9月アーカイブ

ユーロ危機

2011年09月29日

ユーロ危機が新聞を賑わせております。

基本的に、貿易収支の状況に応じて、為替レートが変動し、貿易収支が赤字(黒字)の国は基本的に為替安(為替高)となり、国際競争力が高く(低く)なり、よって貿易収支がゼロに近づくといったような調整を行います。

しなしながら、ユーロ通貨においては、このような基本的な機能を国単位では持たないといった致命的欠陥を有している制度であります。よって、ドイツのようにユーロ安により栄えた国が国力の弱い国に資金を臨時的ではなく恒常的に還元する仕組みが不可欠となります。現在の議論によると臨時的対処についてのみしか議論されてなく、恒常的に資金を流し続ける仕組みがされていない以上、付け焼刃の対処と言わざるを得ず、ユーロ問題は雪だるま式に膨らみながら先送りされることでしょう。

さて、今回のギリシアにせよ、日本のバブル、サブプライムといった何の新たな価値の創出を行っていないにもかかわらず、消費を先行させてしまった場合、そのツケは必ず返済しなければなりません。このツケの支払というのは、極めて大変な事です。個人が1億円遊んで使うのは簡単ですが、1億円貯めるのは使うことの無限大の大変さです。生活費等の固定費を支払った後でしか貯金できないため、貯めるといったことは想像を絶する程大変なことです。

ただ、もし世の中から一瞬で、実物資産以外は、ゼロにするとしたらどうでしょうか?

負債というのは、実物上のものでないため、世の中から債務が全てなくなるのです(もちろん現金もなくなります)。よって、少なくとも債務超過の人はどこにもいなくなるのです。よって、当たり前ですが、世界ベースで総合算した場合、必ず資産超過状態となります。

にもかかわらず、各国が大きな財政赤字を抱えているということは、(実物財産があるため)個人が保有する資産の総合計額は、当該赤字金額超の資産を持っているということであり、財政赤字が膨らみ続けているということは、全個人合計財産は同額以上膨らみ続けているということなのです(個人を法人が所有することはあり得ないため、法人財産は最終的に個人に帰属し、よって、法人財産は個人財産と考えます)

こういった事実にもかかわらず、大多数の者は純資産ゼロか債務超過となっているのですから、ほんの一部の超富裕者と新興国の貧民層に世界各国の財政赤字と同額の財産が流れ込んでいるのです。

新興国の貧民層への資産の流れ込みは当然の流れですから、問題は超富裕層への更なる財産の流れ込みとなります。これを是正するといっても、超富裕層による自主的な還元である寄付しか再分配する方法が無いため、強制的に是正するとなると税金しかありません。

実現は不可能とは思いますが、超超富裕層(資産100億円以上とか?)に対して、累進課税ベースでの財産税を賦課する or 相続財産の増税といったことが本当は必要なのでしょう。

現状の税制ですと、たかだか1800万円の所得で上限税率に達してしまい、相続財産も3億円程度で上限税率に達してしまいますが、所得税は500億円超までの累進課税(含むキャピタルゲイン)、相続財産も数兆円レベルまでの累進課税にすべきなのだと思います。

なぜなら、所得1800万円で財産3億円の人にとっての100万円と、所得1000億円財産5兆円の人にとっての100万円の価値は全く異なるからです。前者の者にとって100万円は、実際により幸せに貢献するはずですが、後者の者にとって、仮に2兆円財産が減ったり所得が500億円減っても実生活は何ら変わらないからです(多分・・)

ただ、程度は別として、こうした施策をとるには、全世界各国が協調して、税制の調整を行い、逃げ場ないようにせざるを得ません。

金融の国境を超えた連鎖や、税制の共通化に近いような調整をしなければならないということを考えると、国連がこのような事項について主体的権限を保有する必要性が高まっています。ただ、そんな事はありえない為、日本や米国のように債務を雪だるま式に膨らませていって、極端に膨らませた風船が破裂し世界が一度リセットされる道のりを歩き続けるのでしょう。

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昭和40年2月12日生
公認会計士・税理士、
 
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